感染症の拡大に伴い、
多くの就業機会、
なかでも雇用機会が
失われた。
それでも就業者数の
減少を一定程度
くい止めていた背景には
大量の休業者の存在と
短時間勤務への一斉シフトが
あった。
では、このうち
非常事態への対応として
休業と短時間勤務は
それぞれどの程度
機能していたのだろうか。
詳細集計の公表結果のなかには
「この1週間に就業時間が
35時間未満の人はその理由を
記入してください」という問いへの
回答として、短時間就業の理由が
含まれている。
選択肢には
「もともと週35時間未満の仕事」や
休暇、出産・育児、介護・看護などのためのなど
「自分や家族の都合のため」に加えて、
景気の悪化などの
「勤め先や事業の都合」による
短時間就業が設けられている。
言うまでもなく感染症拡大や
緊急事態宣言を受けた
会社の判断による
事業の停止や縮減に伴う
短時間就業の実施は、
このうちの
勤め先や事業の都合による
短時間就業に相当する。
実際、週0~34時間の短時間就業者のうち、
勤め先や事業の都合(会社都合)によるものは
2020年第2四半期では
699万人に及んだ。
この期間、完全失業者数が
200万弱だったことと比べても
その数はきわめて大きい。
また会社都合の短時間就業者は
2020年第1四半期には278万人であり、
前期に比べて421万人もの
急増を記録した。
2019年第2四半期である前年同期と
比べても375万人増加している。
詳細集計にある
仕事からの年収との関係でみると、
会社都合の短時間就業699万人のうち、
約6割は年収300万円未満の人々だった。
さらに短時間就業の理由が
勤め先や事業の都合によるもののうち、
仕事を休んでおり、
週末1週間の就業時間が0時間だった
「休業者」と、
1週間の就業時間が1~34時間の
「短時間従業者」に区分し、
それぞれの構成を見てみた。
すると
前期からの421万人の増加のうち、
休業者の増加は128万人だったのに対し、
短時間従業者は293万人増えていた。
つまり会社都合による就業時間調整は
約7割(69.6%)が短時間従業によって
約3割(30.4%)が休業によって
実施されていたことがわかる。
対前年同期からの375万人の増加についても、
61.6%の231万人が短時間従業であり、
38.4%の144万人が休業によるものだった。
ここからは報道などでも
数多く注目された
一切勤務時間のない
休業者の増加に加え、
もしくはそれ以上に
就業はするけれども就業時間を
削減する短時間従業が
主な調整手段として活用されていたことが
見て取れる。
今後も緊急事態による
操業の停止や短縮を
行わざるを得なくなった場合、
第2四半期と同様に
短時間従業への一斉シフトが
可能であるかどうかが、
雇用悪化の程度を抑えるためにも
重要になる。
そのためにも
どのような状況で短時間就業を一斉に
実施するかを、予め労使でしっかりと
対話とそれに基づく準備を進めておくことが
望ましいだろう。
https://genda-radio.com/archives/date/2020/08/03
ただ、短時間での従業が雇用調整として
大きかったとしても、
それでも休業の増加が果たした
役割の大きさも無論無視できない。
休業の理由が会社や事業の都合だった割合は
2019年第2四半期では9.5%、
2020年第1四半期では13.5%だった。
それが2020年第2四半期には38.7%と
やはり突出して増加していたことが確認できる。
今後春先と同様の事態が
生じた場合に
休業による対応がどの程度
実施されるかも
急速な就業機会の悪化の程度を
左右することになる。